『Red』原作者・島本理生さんからコメント到着&新・場面写真公開!


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島本理生氏 コメント全文


本作の『Red』は小説と映画でラストが異なる。原作者として最も素晴らしいと感じたのは、その点だった。なぜなら私自身が小説を書き終えたときに、人によってはまったく違うラストを描いただろうという想いがあったからだ。それはいかに女性の生き方というものに正解がないか、という実感でもあった。

本作には三人の男性が登場し、ヒロインの塔子に惹かれていく。だから一見、その最中の性愛や、塔子が誰を選ぶのかが物語の主軸のようにも見えがちである。だけどそこは本質ではないと私自身は思っている。塔子が彼らを通して、誰のものでもない「私」をどう生きていくかが、この『Red』という作品の本当のテーマだった。そして映画では、その主題が美しい映像と共により鮮烈に映し出されていたことに、深く感銘を受けたのだった。

愛が成就してハッピーエンドで終われるならば、それはもちろん幸せだろう。だけど人生はその後もハッピーだけではなく続いていくし、それぞれの深い想いを置き去りにして、唐突に失われてしまうこともある。妻や母親としての正しさばかり求められるわりには、幸福の答えがない女性の人生をどのように選択していくか。そんなシンプルで根本的なことがずっと置き去りにされてきた日本の女性に、今一度「私」とはなにかを問いかける。

私にとって映画『Red』は、そんな作品だった。


『Red
 2020年2月21日 新宿バルト9他にて全国ロードショー

出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗
監督:三島有紀子
原作:島本理生『Red』(中公文庫)
脚本:池田千尋 三島有紀子
企画・製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
企画協力:フラミンゴ
©2020『Red』製作委員会

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